講義コード
授業番号
授業科目名口腔病理学
科目名(英題)
講義題目
授業科目区分
開講年度2013
開講学期通年 (前期:木曜 /後期:月曜・金曜)
曜日時限月3 月4 木3 木4 金3 金4
必修選択必修
単位数8.0
担当教員坂井 英隆
対象学部等歯学部
対象学年学部3年
開講地区病院地区
履修条件
授業概要総 論
1 病因論
疾患の原因を追究するのが、病因論である。
病因は内因と外因とに分けられ、本項ではそれぞれについて述べる。また外因については感染症のうち、特有の組織像を呈する疾患を中心に実習を行う。
2 細胞と細胞間質の病的変化
種々の疾患は、基本的には臓器や組織を構成する細胞およびそれを支持する細胞間質の形態学的、機能的変化により発生する。これらについての解説を行う。
3 退行変性(退行性病変、代謝障害)
身体を構成している細胞や組織は、その正常な形態と機能を維持するために物質代謝を行っている。生体に種々の障害因子が作用すると、細胞や組織の代謝障害が起こり、形態的機能的変化を起こす。特に機能の低下あるいは消失を起こすような変化を退行変性と呼ぶ。退行変性には、変性、萎縮、壊死が含まれる。本項では変性、萎縮、壊死のそれぞれについての講義と実習を行う。
4 修復(進行性病変)
生体に障害因子が作用すると、変性などの退行性病変とは異なった、細胞や組織の能動的かつ積極的な活動を認めることがある。このような現象は、広義の修復(進行性病変)と呼ばれる。この現象には、生体に対する作業負荷の増大に対して、個々の臓器や組織の機能を亢進させる反応(肥大と過形成)と、障害因子の作用により損傷を受けた臓器や組織の構造を修復する反応(狭義の修復)がある。これらの反応についての講義と実習を行う。
5 循環障害
生体の正常な構造と機能の維持(細胞の機能の維持)は、血液・リンパ液の正常な循環により保たれている。血液・リンパ液の循環は血管系とリンパ管系の閉鎖循環系によって行われ、臓器や組織への酸素や栄養源の供給と臓器や組織からの炭酸ガスや代謝老廃物の除去という極めて重要な機能を果たしている。したがって、循環系の異常は局所および全身に重大な病変を招来する。また種々の病変は局所の循環障害を引き起こし、病変の拡大を引き起こす。これらの現象についての講義と実習を行う。
6 炎症
炎症とは、生体に種々の障害因子(物理的、化学的、生物学的)や免疫学的現象に基づく刺激が作用した場合に、生体に起こる局所的、全身的反応である。またこの反応には、炎症に特有の白血球の浸潤という現象に加え、前述の退行性病変、進行性病変、循環障害のすべての現象がみられ、かつこれらの現象は一定の状態に留まる事がなく、常に変化している。すなわち炎症とは、障害因子が作用してから、それが取り除かれ、正常状態に回復するまでの一連の過程を示している。これらの一連の変化について、主に形態学的変化を中心に講義と実習を行う。
7 過敏症性疾患
自己と非自己を識別するために生体に備わった防御機構を免疫機構と呼ぶ。免疫機構の異常は、アレルギ−(過敏症)や自己免疫疾患を引き起こす。正常状態における免疫機構、その異常の発生メカニズムおよびそれに基づく各種疾患について解説する。
8 腫瘍
身体を構成する細胞が、生体の恒常性を支配する生物学的規律に従わず、自律的にかつ過剰に増殖した組織塊を腫瘍という。腫瘍は、その増殖に必要な栄養分を生体に依存しているため、また正常の臓器や組織の構造と機能を破壊するために、生体に対して何らかの障害を及ぼし、最悪の場合は生体の死を招く。また腫瘍に隣接した組織では、前述の退行性病変から炎症までのすべての現象を認める。本項では、このような腫瘍の基本的な性質や構造についての講義と実習を行う。

各 論
口腔およびその関連領域の疾患について、それらの組織、臓器に生じる疾患の背景に存在する形態的、機能的変化の把握と理解を通じて疾患の本態を学習し、組織のマクロ・ミクロ的な病態像と臨床所見や画像所見との関連性や、疾患の予防、診断、治療など、臨床歯科医学関連した内容の基礎を養う。各論の講義内容は臨床各教科の基礎的内容を含むので、できる限り多数の症例についての臨床事項を含めたスライドを供覧する。以下の項目の講義と実習を行う。
1 口腔領域の病変
 1)口腔領域の奇形、先天性異常
 2)口腔粘膜の病変(エプーリスを含む)
 3)顎骨および顎関節の病変
 4)口腔領域の嚢胞
 5)非歯原性腫瘍
 6)歯原性腫瘍
2 歯牙および歯周組織の病変
 1)歯の発育異常
   (a)歯の大きさおよび形の異常
   (b)歯の数の異常
   (c)歯の位置の異常
   (d)萌出の異常
   (e)咬合の異常 
   (f)歯の構造の異常(歯の形成不全)
 2)齲蝕およびその続発症
   (a)歯の機械的、化学的損傷
   (b)歯の沈着物および着色
   (c)齲蝕
   (d)象牙質とセメント質の増生および吸収
   (e)歯髄の病変
   (f)根尖部歯周組織の病変
 3)辺縁部歯周組織の病変
   (a)歯肉炎
   (b)辺縁性歯周炎  
3 唾液腺の病変
唾液腺に発生する退行性病変、進行性病変、循環障害、炎症などについての講義と実習を行う。
4 唾液腺の腫瘍
唾液腺に発生する腫瘍には、他の臓器や組織と同様に良性腫瘍と悪性腫瘍が有る。これらに関する臨床的特徴と、組織学的特徴についての講義と実習を行う。
全体の教育目標 病理学は、主に形態学的な観察に基づき、生体に発生する種々の疾患における形態と機能の変化を明らかにすることにより、疾患の本態(原因、発生機序、経過および結果)を科学的理論に基づき究明することを目的とする。また、疾患の本態を理解する事により、疾患の予防、診断、治療といった臨床歯科医学に関連した種々の分野における理論的根拠となる医学的背景を洞察する能力を養う。このように病理学は臨床医学と極めて密接な関係を有しており、同時に関連する領域は、解剖学、生理学、生化学、微生物学などの基礎医学から予防医学をも包括する、広く医学全般に及ぶものである。したがって、病理学を理解するためには上記のような基礎医学の知識の習得が前提条件である。
 病理学の講義と実習は、総論と各論に分けて行われる。種々の疾患は、たとえそれが発生した臓器や組織が異なっていても、その疾患に特徴的な、かつ共通の普遍的な形態学的、機能的変化が存在する。この普遍性を究明するのが、総論である。一方、同一の原因により発生する疾患も、臓器や組織が異なれば、その特異的な構造の違いにより表現される臨床症状や形態学的変化も修飾される。各論は、このことを念頭に置き、種々の疾患を臓器、組織別に把握することを目的とし、口腔領域の臓器・組織における症例の供覧を主体に講義と実習を行う。
 各項目の講義の後に、講義の内容に関連した病理組織標本の観察を行い、身体に発生する各種疾患の病態像を把握する。また、将来の研究者育成のために最新の研究内容についても適時紹介する。
個別の学習目標 細胞や組織に起こる種々の病的変化が複雑に関連して、一つの疾患体系が構築されていることを理解させる。また、形態学的変化が口腔を含めた全身諸臓器・組織における疾患の臨床的にみられる種々の機能的変化と深く結びついていることを理解させる。
授業計画添付ファイル参照
キーワード
授業の進め方 Blackboard(旧Web CT)上に講義内容の講義ノートをアップロードしているので、授業日程にあわせて各自ダウンロードしておくこと。また病理組織標本の組織像の写真も一部掲載しているので、各自利用すること。
テキスト総 論
1)「病理学」改訂第6版 1995年、監修 遠城寺宗知、編集  居石克夫、恒吉正澄, 医学書院 (総論の講義は主にこの本に沿って行う)
2)「組織病理アトラス」第5版 2005年、編集 小池盛雄、恒吉正澄、深山正久、森永正二郎, 文光堂
3)「カラーアトラス 病理組織の見方と鑑別診断」第5版 2007年、監修 赤木忠厚、編集 大松原 修, 真鍋俊明, 吉野 正 医歯薬出版
4)「癌の病理組織アトラス」 1995年、監修 菅野晴夫、編著 北川知行、 南江堂
5)「免疫生物学」 監訳 笹月健彦, 南江堂
6)"Pathology", 3rd edition, 1999, eds E. Rubin and J. L. Farber, J. B. Lippincott Company.
7)"Robbins Pathologic Basis of Disease" 7th edition,2004, eds V. Kumar, Ramzi S. Cotran and S. L. Robbins, W.B.Saunders Company.
8)"Atlas of Head and Neck Pathology" 2nd edition,2008, B. M. Wenig, Saunders Company.
各 論
1)「口腔病理学Ⅰ、Ⅱ」改訂版 1989年、監修 石川梧郎 、編集 石川梧郎、秋吉正豊, 永末書店(各論の講義は主にこの本に沿って行う)
2)「口腔病理アトラス」第2版 2006年、監修 高木 実、 編集 山本浩嗣、坂井英隆、高田 隆、 文光堂
3)「新口腔病理アトラス」第1版 2008年、編集 下野正基、高田 隆、著者 坂井英隆、清島 保 他、医歯薬出版
4)「口腔外科・病理診断アトラス」第1版 監修 石川達也 他、編集 下野正基 他、医歯薬出版
5)"A Text Book of Oral Pathology", 4th edition, 1983, eds W. G. Shafer, M. K. Hine, B. M. Levy, W. B., Saunders Company
6)"Oral Pathology", 5th edition, 2008, eds J. A. Regezi, J. Sciubba, R. C. K. Jordan, W. B., Saunders Company.
7)"Atlas of Oral and Maxillofacial Pathology", 2000, J. A. Regezi, J. Sciubba, M. A. Pogrel, W. B., Saunders Company.
その他
1)日本臨床口腔病理学会「口腔病理基本画像アトラス」
http://www.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/
2)日本病理学会「病理コア画像」http://pathology.or.jp/corepictures2010/index.html
*参考図書はその他多数有るので、必要であれば当研究分野まで問い合わせのこと。
参考書
学習相談 質問や相談があるときは、随時研究室を訪問し、時間の許す限り教員が対応する。しかし実験やセミナー等で対応できない場合があり、そのときは別の日時を予約すること。
試験/成績評価の方法等 後期授業日程内で「総論講義(100点)」、「各論講義(100点)」、「総論実習(100点)」、「非常勤講師の講義・実習(100点)」の各項目について試験を行う。成績の判定は、全項目(合計400点)の平均得点で行う。平均が60%に満たない場合は不合格となり、該当者は再試験の受験を要する。再試験では、定期試験で60%に満たなかった項目を全て受験しなければならない。再試験の得点を新たに差し替え、前の試験で60%以上であった項目と合わせた全項目の平均が60%以上の得点となれば合格とする。
 実習レポートを実習試験の点数の査定に反映させる。この査定には日頃の実習受講態度も含まれる。(尚、講義の受講態度についても採点に反映させる。)
 授業日程内の試験および定期試験の未受験者は、特別な理由がない限り、それ以降の受験を認めない。したがって、受験をしなかった時点で留年が決定し、次年度に再履修となる。
その他坂井英隆(電話: 642-6325, メール:hsakaiop@dent.kyushu-u.ac.jp)
清島 保(電話: 642-6326, メール:kiyo@dent.kyushu-u.ac.jp)
永田健吾(電話: 642-6326, メール:kengon@dent.kyushu-u.ac.jp)
和田裕子(電話: 642-6326, メール:hiroko@dent.kyushu-u.ac.jp)
藤原弘明(電話: 642-6326, メール:tank@dent.kyushu-u.ac.jp)
添付ファイル
ファイル名(file_name)備考(remarks)更新日時(updated date)
口腔病理学(日程).pdf 2013-04-04 21:04:28
口腔病理学(個別到達目標).pdf 2013-04-04 21:04:37